調査研究事業

北陸の地域産業活性化と活力ある北陸経済を実現するための課題等について調査し、
その解決のための方策等を企画・提言する事業です。

財団自主調査

北陸における産業の高度化や新産業の創出等いわゆる産業の活性化及び活力ある北陸経済の実現を図るための当面する課題について、自主財源を持って調査研究し、課題解決のための方策等を企画・提言する事業です。

「北陸地域におけるライフサイエンス分野の産業集積」に関する調査及び研究  

事業年度

平成28年度

調査概要

北陸地域(富山県、石川県、福井県)においては、今後の少子高齢化の進展や健康への関心の高まりなどから、有望な成長分野と考えられるライフサイエンス産業について、全国トップクラスの医薬品産業に加え、医療機器産業、機能性食品・化粧品等の健康産業の活性化を図るべく、企業集積や特色ある大学群の集積等の連携を図るクラスター形成の取り組みが続けられている。
こうした中で、北陸地域のポテンシャル、地域特性等を最大限生かしてイノベーションの促進や資金循環の活性化を図るべく、ライフサイエンスクラスターの更なる発展に向けた方向性、施策について考察、分析、提言を行うため、報告書として取り纏めた。


【実施概要】

① クラスター政策の分析枠組みにおいては、早稲田大学藤田誠教授のクラスターモデル(藤田モデル)を活用して分析視点を整理した。
② 内外ライフサイエンスクラスター比較においては、内外のクラスターを比較検討することで、北陸地域におけるライフサイエンスクラスターを示唆した。
③ 北陸地域におけるライフサイエンス産業の方向性においては、北陸産業競争力協議会により2014年に策定された「北陸産業競争力強化戦略」を踏まえた上で、北陸地域におけるライフサイエンス産業の動向やポテンシャル、地域特性の活用を勘案することで、今後の方向性を導出した。
④ 北陸地域におけるライフサイエンスクラスターの更なる発展に向けてでは、クラスター政策のあり方について藤田モデルの分析枠組みを用いながら提言した。
【調査結果】
北陸地域におけるライフサイエンスクラスターの更なる発展に向けては、革新的な技術シーズやものづくり基盤等がありながら、低密度で分散し、相互に必ずしも十分に連携しておらず、ライフサイエンスクラスターの形成期にあるといえる北陸地域にあって、①薬効の追及/特殊剤形の工夫、②多様なものづくり技術基盤の活用、③配置薬/漢方薬の再活用、④検査・診断への取組、⑤健康産業の育成、⑥先端分野への挑戦、⑦企業誘致、⑧健康ツーリズムの8つの方向性が重要である。
各地の企業、病院、大学等が中心となって関係主体と連携しながら小規模クラスターを構築し、そのうえで、広汎性発達障害、認知症、がん、生活習慣病などの疾病、症例別に研究開発拠点の連携ネットワークを構築することが大切である。ネットワークの密度を高めるには、情報の共有と受発信、事業化プロセスの支援が必要である。製品化に結びつける研究開発、事業化・資金調達できるコーディネータの育成、研究開発から生産・販売に至る切れ目ない支援、ベンチャーキャピタルやエンジェルなど潤沢な外部資金の確保、医師のニーズを出発点として医師とエンジニアが連携・協働するような事業化システムの構築などがあげられる。
また、それらの取り組みを統括する組織を構築することで、域内連携、国内連携、国際連携といった各方面の連携においてより効果的な取り組みが可能となる可能性があり、北陸3県の連携体制が重要である。そして国家戦略特区の指定による県際協議会の設置がひとつの方策であることを示した。

  調査委員会

開催日 開催場所
第1回 平成28年 8月 2日(火) 金沢市 金沢都ホテル
第2回 平成28年 9月14日(水) 金沢市 金沢都ホテル
第3回 平成28年11月 4日(金) 金沢市 金沢都ホテル
第4回 平成29年 2月 1日(水) 金沢市 金沢都ホテル

関連行事

平成28年度調査・研究事業「北陸地域におけるライフサイエンス分野の産業集積」に関する調査及び研究報告会(平成29年6月9日)