古市泰宏先生がご逝去されました

当財団の「ほくりく健康創造クラスター」・「北陸ライフサイエンスクラスター」事業を通じて、北陸のライフサイエンス事業の推進に多大なご協力をいただきました古市泰宏先生が令和4年10月8日にご逝去されました。
ご生前のご功績を偲び、謹んで哀悼の意を表します。

古市泰宏先生と当財団の関わり


「ほくりく健康創造クラスター」事業[平成21年6月~平成25年3月]


地域イノベーション戦略支援プログラム(グローバル型)「ほくりく健康創造クラスター」  事業統括

「北陸ライフサイエンスクラスター」事業[平成25年8月~平成30年3月]


イノベーション戦略支援プログラム「健やかな少子高齢化社会の構築をリードする
北陸ライフサイエンスクラスター」アドバイザー

古市泰宏先生ご執筆記事の紹介

「ほくりく健康創造クラスター」事業紹介集


先生には当財団の会報誌(80号~86号)において、「ほくりく健康創造クラスター」の研究プロジェク
ト内容についてご紹介いただいた他、最近では、109号(令和4年3月発行)において、特別寄稿として
「コロナmRNAワクチンの紹介と開発の奇跡」をご紹介いただきました。

ほくりく健康創造クラスター 事業紹介集(80号~86号の事業紹介ととりまとめたものです)


会報誌109号特別寄稿「コロナmRNAワクチンの紹介と開発の軌跡」


その他、当財団のホームページにおいて、日本RNA学会サイトに寄稿されたエッセイについても以
下のとおりご紹介させていただいております。是非ご覧ください。

●RNA研究発見のエピソード「エッセイ走馬灯の逆廻し」(日本RNA学会サイトへリンク) 2022.8.17 up


第1話  RNA研究、発見エピソードの数々 はじめに キャップ構造の発見 
第2話  HnRNAからスプライシングの発見へ
第3話  mRNAスプライシングの発見
第4話  インフルエンザRNA転写のブレークスルー
第5話  mRNAキャッピングの役割
第6話  キャップ結合タンパクeIF4Eの発見
第7話  ポリオウイルスmRNAの翻訳に関する新発見とIRESの登場
第8話  さよならマリリン:KozakルールとリボソームScanningの発見
第9話  数兆円の経済効果-PCRの発見
第10話 40年ぶりのReunion
第11話 一品目の新薬から3.4兆円評価の製薬会社への躍進
第12話 日本発、キャップ依存型インフル治療薬ゾフルーザの発見
第13話  リボザイムの発見:触媒活性を持つ不思議なRNA 
第14話  NMDの発見:メッセンジャーRNAの品質管理 
第15話  DNAの発見 Friedirich Miesher
第16話  DNAメチル化解析、バイサルファイト法の発見 
第17話  DNAの謎解明へ、シャルガフの法則 Erwin Chargaff
第18話  ゲノムコードの解読 Nirenberg
第19話  ゲノムコード解読の先輩・RNA研究者たち
第20話  大河ドラマ・ゲノムコード解読の人たち
第21話  45年前の野球帽
第22話  2019年、夏の思い出
第23話  二本鎖RNAウイルスゲノムのクローニング (Imai & Furuichi)
第24話  ジャンボをチャーターしてジパングへ (Arella, Richardson, Sanchez)
第25話  難敵コロナウィルス
第26話  コロナ終息への創薬
第27話  コロナウイルス防衛に働く免疫システム
第28話  コロナウイルスへのメッセンジャーRNAワクチン
第29話  これからのワクチンは分子生物学mRNAワクチン
第30話  国産mRNAワクチンへ向けて
第31話  思い出のMLB
第32回  カリコさんからのメール
第33回  カリコさんの講演から
第34回  コロナmRNAワクチン発見・開発の軌跡
第35回  病気の恩師を励ますシンポジュームin New York
第36回  キャップ発見のころの追憶

トピックス

●金沢大学「認知症先制医学」講座:脳磁計(MEG)による早期アルツハイマー病(軽度認知障害を含む)診断の進展
ほくりく健康創造クラスターの成果である脳磁計(MEG)を用い、安静開眼時および閉眼時における計測が早期アルツハイマー病(軽度認知障害を含む)の診断に有用であることを明らかにした成果が、2020年6月金沢大学大学院医薬保健学総合研究科の山田正仁教授らによってScientific Reports誌に報告されました。さらに、山田教授、篠原もえ子特任准教授らの「認知症先制医学」講座は株式会社リコーと、認知症早期発見におけるMEGの有用性を確立するための研究を七尾市中島町で継続中の認知症地域コホートにおいて推進しており、新たな成果が2020年11月の日本認知症学会で報告されまました。MEGによる脳機能計測によって高齢者が将来認知症を発症することが予測できるようになることは、認知症予防介入・早期治療につながることが期待されます。

●2020年の「International Journal of Oncology」の表紙を古市先生が飾りました。

「International Journal of Oncology」
古市泰宏先生のポートレートが表示されます

古市泰宏(ふるいちやすひろ)先生プロフィール


1940年 日本統治下の北朝鮮で生まれ、戦後、父祖の故郷の富山へ引き揚げる
1969年 東京大学薬学系大学院博士課程修了、薬学博士、
国立遺伝学研究所、米国ロシュ分子生物学研究所室長、米国微生物学会J. Virology誌assoc. Editor, 日本ロシュ株式会社分子生物学研究所研究部門長等を経て、1994年株式会社エイジーン研究所取締役研究所長、2000年株式会社ジーンケア研究所設立、2019年岐阜大発ベンチャー株式会社GF Mille(ジーエフミレ)を設立、それぞれ代表取締役に就任、株式会社GF Mille 最高科学顧問、新潟薬科大学客員教授、HLSCアドバイザー、2019年から金沢大学(医)株式会社リコー寄付講座・認知症先制医学講座アドバイザー。 メッセンジャーRNAのキャップ構造の発見と機能解明、ウェルナー症候群などヒト遺伝病の研究、老化やRNAがん創薬の研究を行う。日本RNA学会名誉会員。

■学術的業績:
「メッセンジャーRNA・キャップ構造の発見と機能解明」
「ウェルナー症候群などヒト遺伝病の研究」
「RNA干渉を用いたsiRNA抗がん剤医薬の開発」のほか
国際的英文科学雑誌に約280報の論文を発表。

■主な日本語著書:
「健康寿命を伸ばす!アンチエイジングへの取り組み」(杉本正信、古市泰宏共著)東洋出版(2014年)
「老化と遺伝子」(杉本正信、古市泰宏共著) 東京化学同人(1998年)
「老化と遺伝子」富山県民生涯学習カレッジ(1996年)
「HIV治療薬の開発と蛋白工学」講談社サイエンティフィク社(1995年) など。

以上